2008年度 学部生卒業研究テーマ
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汎用型せん断変形加工機による超微細ステンレス鋼の開発
金属材料の高強度化の方法は,一般的には添加物を加えて合金にする手法です.しかし,この合金化ではリサイクル性が悪くなり,材料の有効利用という点では望ましいものではありません.そこで金属組織を微細化することで強度を向上させるという性質に着目しました.金属組織の微細化を行うために本研究室で用いているのが,くり返しせん断変形加工と呼ばれる加工法です.この方法は加工を行っても材料形状が変化しないので,繰り返し加工することが可能です.(写真:万能試験機とせん断変形加工機)
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超微細アルミニウムの摩擦圧接
くり返しせん断変形加工(上記の研究で使用する加工機)で加工された試験片は金属組織が微細化します.試験片は断面形状や棒材の長さは金型の大きさに左右されますが,製品を作ることを考えると長い棒材を作ることが必要となります.本研究では,その試験片(今回はアルミニウム合金)を摩擦圧接(左図)という方法で接合したときの金属組織の変化や接合状態を調べるために,装置の製作と試験片の接合後の状態を実験によって調査します.
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超微細アルミニウム材の精密切削特性
一般的に材料強度が上がると切削加工は困難となります.しかし,金属結晶の大きさや組織の流れに注目することで高強度にもかかわらず切削時の抵抗を低減できる可能性があります.そこで本研究では,くり返しせん断変形加工によって高強度化された材料を製品へと加工する際の切削状況を想定し,材料に対しての切削方向など様々な条件を考慮して,“よりきれいに・より簡単に”加工が行える条件を調査するものです.(写真:切削の様子)
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ステンレス鋼の圧縮変形に伴う材料特性変化(磁気特性)
オーステナイト系ステンレス鋼に塑性変形を加えると加工誘起マルテンサイトという組織が発生します.この組織が多く発生するほど硬さが大きくなり,大きな磁性を示すようになります.これらの特性から磁場を測定することで硬さの推定を行うことをこの研究の目的としています.
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ステンレス鋼の圧縮変形に伴う材料特性変化(腐食特性)
ステンレス鋼の優れた材料特性の1つに耐食性があります.一方,上記のようにステンレス鋼は塑性変形によって強度が増します.しかし強度が増すことによって耐食性にどのような影響があるのか,あまり知られていません.この研究はこの点を調査するものです.(写真:ステンレスの腐食実験前後の変化)
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ステンレス鋼の圧縮成形特性
ステンレス鋼を塑性変形で加工し製品を造る際,圧縮変形特性は非常に重要なデータとなります.この研究は,圧縮時の温度や速度がステンレス鋼の材質にどのような影響を与えるかを基礎的なデータを採取し調査するものです.
(写真:圧縮試験用金型と試験片)
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ステンレス鋼の表面性状に及ぼす切削条件の影響
ステンレス鋼は元々削りにくい金属ですが,現在様々な用途があり生産コストを低減することが望まれています.本研究は、超高速で切削し、後に適切な仕上げを施すことで加工に必要な総時間の短縮を実現させることが目的です.具体的には,超高速切削をした時に材料表面がどのように変質するのか,きれいな表面を作り込むには,どうしたら良いかを考えることです.
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AEセンサーによる硬質被膜の密着度評価
現在多くの工具等には耐磨耗性を向上させ,摩擦係数を低減させるために,硬質被膜と呼ばれる膜が被覆されています.しかしこの被膜は使っていると壊れてしまいます.この膜の壊れ方には2つの形態があります.1つは破壊,もう1つは剥離です.この2つの形態を被膜が壊れる際に生じるアコースティックエミッション(AE)を用いて判別し,膜の高寿命化を図ろうとする研究です.
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